見えないお姫さま


「じゃあどうする?今夜来るか?」

「今夜?」

「あぁ。昼間は勉強があって無理だろ?じゃあ夜しかねえだろ」

「えぇ、そうね」

「今日は無理か?」


夜、お城を抜け出すという事よね…。

大丈夫かしら。

お兄様の二の舞になったりしないかしら。


「ごめんなさい。今日は行かれないわ」

「……そっか」

「じっくり計画を練らないと」

「計画?」

「えぇ」


そう。

計画を練らなければ。

お兄様の二の舞なんてまっぴらごめんだわ。

お父様は、今度何を仕出かすか分かったものじゃない。



―――迂闊(ウカツ)だった。

私は何も考えていなかった。

ただ“ヴァンに会いたい”という理由を先行して、周りを見ていなかった。



次の日。

―――お父様が動いた。


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