tokimeki*train
クマさん
「やめろよ!!」
それと同時に私の腕を掴み引き寄せる大きな手。
涙目のまま、顔を上げたその先に見えたのは、
人を掻き分けて助けてに来てくれた、クマさんだった。
「クマさん…」
私は助かった安堵から、彼をジッと見つめていた。
ちょうどその時、運悪く次の駅に着き、痴漢は逃げるように降りて行った。
車内には、クマさんの横に立つ私と、前には薫くんたち集団。
クマさんは、薫くんをキッと睨むと、
「男なら助けろよな!」
と静かに怒鳴った。
薫くん達の表情がビビってるのが分かる。
さっきまでの勢いが嘘のようだ。
ヘビに睨まれたカエルのような。
でも何で?
ワケの分からない私なんか眼中にないようで、
「すみませんでした」
勢いよく誤ると、彼らも次の次の駅で逃げるように降りて行った。