tokimeki*train
「だいぶ落ち着いた?」
私はコクリと頷いた。
「なぁ、名前は?」
「高田幸。幸福の幸でサチって読むの」
「サチか。オレは川上章二(ショウジ) よろしくなサチ」
「それと、よくあるのか? えっと…、痴漢に…」
言いづらそうな彼に、私はそっと頷いた。
「そっか。オレ許せねぇ」
「なぁ、まだ好きか?
一ノ瀬の事」
自信なさげに私を見下ろす章二くん。
「ううん」
私は顔を横に振った。
彼はアイドルに憧れるようなものだったのかもしれない。
実際、あんなに酷い事言われたのに、それ程傷ついていない自分がいる。
それよりも、章二くんが助けてくれた方が断然うれしかった。
そっか。もしかして私は。