tokimeki*train
オマケ① クッキー
「おはよう」
私より先に電車に乗ってる章二くんは、私が乗り込むと、ドアと体の間に小さな隙間を作って私を入れてくれる。
本当に私を守ってくれているんだ。
「ありがと。うれしい」
混んでいる車内でも、自然に笑顔になる私。
今まで毎朝、心の中で悪態をついていたのが嘘みたいだ。
「なぁ、サチ。昨日くれたクッキーうまかったんだけどよぉ。何で形がクマさんなワケ?」
「え? 章二くんがクマさんだからだよ」
「ダメだった?」
章二くんの顔がほんのり赤い…
「イヤ…。うまかったよ。他の野郎に取られそうになったしな。思いっきり阻止しといた」
自慢気に言う章二くんがかわいくて。
「じゃ。友達さんの分も作ってくるよ。クマじゃないけど。普通の」
「だーめ。オレだけ食べればいいの。分かった?」
「ふふふ。は~い」
今日もギュウギュウ詰めの車内。
でも幸せな空間。