tokimeki*train


私は見られていた事の恥ずかしさから顔が真っ赤になっていった。

「そんなにヤツが好き?」
ふと見上げると真顔の彼が私を見ていた。

言葉に詰まる私を見て、急に笑顔に戻り。

「うそぴょーん。イジメ過ぎちゃった?」

なんてケラケラ笑ってる。私?からかわれたのかな?

ハテナマークを頭に浮かべているうちに、私たちが降りる駅に着いていた。

「じゃな」
彼は既に前に進み始めていて、後ろ手に手を振りながら降りていった。

はっ!とした私も慌てて降りたけど、ホームはすごい人でもう彼を見つけられなかった。

名前ぐらい聞きたかったな。

私は心が暖かくなる気持ちの理由が分からないまま、お礼をする事だけを考えていた。


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