同級生
人志は真直ぐ自販機コーナーに入り、俺に訴えるような目をしながら、小銭を入れていない自販機のボタンを連打していた。

「お前頭良いな?英語と数学は担当教師同じだもんな…。なんで気がつかなかったんだろ?」

「洋ちゃんの頭が悪過ぎなんだよ…」

「なんだと?」

「うそウソ!洋ちゃん、英語も数学も普通に出来るからじゃね?それか…」

「それか?」

「脳ミソ腐って…」

人志の首を腕で絞め、歯を食いしばりながら小さく聞いた。

「誰の脳ミソが腐ってんだ?コラ…」

「冗談だって!死ぬ死ぬ!マジ死ぬ!ホントごめんなさい!」

必死でタップしながら叫ぶ人志。

腕を放すと、人志は首を擦りながら小さく告げてきた。

「…こないだはごめん。後は洋ちゃん次第だからな?電話で聞いたんだけど、たぶんアイツ待ってるよ。洋ちゃんから話しかけてくれるの」

「…そうなんだ。サンキュな」

昼休みの間だけだけど、人志のお陰で和華と居られる事実は、ずっと抱いていた小さな願望を、現実に変えようとしているように思えた。

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