同級生
思いを伝えられないまま、迎えてしまった試験最終日。


テストを終えた後、一人急いで帰宅し、携帯を開いた。


乱れ切った呼吸を整えた後、大きく深呼吸をし、記憶された番号をゆっくりと丁寧に押し続けた。


「この番号は、現在使われておりません」

「…嘘だろ?」

微かに聞こえた機械の音声を、疑う事しか出来ずにいた。

何度掛け直しても、普段繋っていたメモリーから掛けても、聞こえて来るのは音声案内の虚しい声だけ。



電話が繋がらなくなった今、自分に出来る事は一つに絞られてしまった。



『卒業式の後に、直接思いを伝える』



最後の行動を実行する為には、周りの協力が必要不可欠。

先にホームルームが終わっても和華が帰ってしまわないよう、同じクラスの一哉に足止めをして貰う事。


他の奴等が…

特に若林が乱入しないよう、人志にアイツらの足止めをして貰う事。


協力してもらうなんて不本意過ぎるけど、自分一人で全部をこなすには無理が有り過ぎる。

< 107 / 196 >

この作品をシェア

pagetop