同級生
卒業式当日の朝、一哉と人志にお願いをすると、二人は快くOKしてくれた。

「一哉、なんか悪いな。一哉も和華が好きだったんだろ?」

「ん?別にいいよ。もうとっくに忘れたし」

「…忘れた?」

「あれ?言って無かったっけ?2月期の途中から彼女が出来たんだよ。一緒に水遊びした和華の祭り仲間。女子更衣室で今の彼女の話ばっかしてたんだ」

「全然聞いてねぇぞ…。そんな話…」

「まぁまぁ…。頑張って卒業しに行こうぜ!」

3人でチャリに跨がり、卒業を祝う気配の無い天気の中、グッとハンドルを握り締めた。


入学式を思い出させる薄暗い天気。

時々、冷たく細か過ぎる水滴がパラパラと降る中、チャリを漕ぐ足を早めた。



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