同級生
卒業式を終え、教室に戻ると、担任は思い出を話しながら号泣し始めた。

涙が邪魔で、全くと言って良い程話が進まない…


焦る気持ちを抑え切れず、苛立ちながら怒鳴りつけてしまった。

「先生!もう良いから帰らせろよ!」

「待てよ…。もう少し話させろよ…」

涙を流しながら訴えてくる担任。

「んだよ…。完全に泣き上戸の親父じゃん…」

ため息混じりに小さく呟くと、新田が小声で聞いてきた。

「決心したのか?」

「ああ。足止めするように言ってあるから良いんだけどな。早く終わらせてぇ…」

「『同級生』を卒業か…」

「ウジウジ考えるのを卒業すんだよ」

「同じ事だろ?…頑張れよ。たぶん、アイツもお前と同じ気持ちだし」

「マジで?」

「アイツ、ずっとお前の事見てたしな。藤沢と付き合ったのも、お前の事、諦めようとして付き合ってたんじゃね?違うクラスだし、知らない事多過ぎたろ?同じ部活だったのに、大して話ししなかったから」

「…聞いたのか?」

「見てればわかるよ。人間観察好きだしな」

「お前って、結構暗いんだな…。ヤンキーのクセに」

「お前に言われたくねぇ。終わるぞ」


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