同級生
長過ぎるホームルームを終えた後、鞄と携帯を手に教室を飛び出した。

校舎を飛び出した後、ベンチで呆然としているみんなを見つけ、慌てて駆け寄った。

「和華は?」

「…帰っちゃった」

「はあ!?お前何してんだよ!!」

「なんとか足止めしようとしたよ!俺だけじゃ無理で、人志も止めようとしたんだけど、若林が告ってさ…『好きな人が居るから無理』って…」

「…好きな人?」

「『洋ちゃんの事が好きだから無理』ってさ…。『何にも話せなかったけど、3年間片思いしてたんだ』って。
人志が『告れ』って言ったのに、『卒業するから忘れるんだ!』って泣きながら笑っててさ…、みんな呆然としちゃって…、その間に…」


慌てて人志のチャリに跨がり、急いで駅まで向かった。



このまま終わりたく無い。



このまま終わったら、一生後悔しそうで嫌だった。

3年間もお互い思い合っていたのに、何も言えないまま終わるなんて辛過ぎる…

せめて一言だけでも『好きだ』と伝えたかった。


自分の気持ちを伝えるだけで、救われるような気がして仕方無かった。


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