同級生
第Ⅱ章:友達

記憶



―数日後―


「はぁ!?ちょっと洋介!それ本気で言ってんの!?」


電話の向こうから怒鳴り散らして来る、付き合って半年になる彼女の葉月。


「本気って、仕方無いだろ?仕事なんだから」


葉月が怒鳴り散らして来る理由は、自分の誕生日が偶然にも土曜だったのに、急遽仕事が入ってしまったから。


「何とかしなさいよ!」

「何とか出来る問題じゃねぇだろ?現場が遠いんだから…。時間きっちり終わっても、東京に着くのは翌日なんだよ!土曜出勤すれば手当て付くし…、車検近いから稼ぎたいし…」

「仕事と私とどっちが大事なのよ!?」



『仕事』と即答してしまいそうな気持ちをグッと堪え、ため息混じりに小さく呟いた。


「…比べるもんじゃねぇよ」

止どまる事を知らない葉月の文句。

キーンと耳鳴りがしそうな程、高くデカい怒鳴り声に、思わず携帯を耳から離した。



………マジうるせぇ。鼓膜破れそう…



「ちょっと!ちゃんと聞いてるの!?」

「聞いてる。悪い。先輩から電話。またな」

咄嗟に思い付いた嘘を吐き出し、逃げるように携帯を畳んだ。



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