同級生


………和…華?



突然、目の前に現れた、何度も夢の中で話し、笑い合っていたアイツ。

夢の中のような長い黒髪ではなく、茶色く肩より少し短い髪だけど…

少し鼻にかかる声…

はっきりとした二重瞼と、茶色かかった瞳…

小さな唇と白い肌…

何より、赤い顔をしながら俯く仕草はあの頃と全く変わっていない。



「では菊池さん、工事の方、始めさせて頂きます。洋介、行くぞ」

「…え?あ、はい…」



春樹さんの言葉に答えるのがやっとだった…

突然、目の前に現れたアイツに話しかけられないまま、和華の居た小さな事務所を後にし、すぐ隣にある家の工事に取り掛かからなければいけない現実だけど…

この仕事は夏までの長期スパン。

話しかける時間は腐る程あるだろうし、和華の様子だと俺が誰か気付いて居そうな気がした。



………さっさと午前中の仕事終わらせて、和華に話しかけてみよう…



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