同級生


建て付けの悪い扉を“ガタッ”と開けた瞬間

「うるせぇよ!!」

耳に飛び込んできた彼の怒鳴り声。

あまりにも突然過ぎる怒鳴り声に、体が“ビクッ”っと跳ね上がった。

「ガタガタ言って…」

私と目が合った途端、萎んでいく風船のように、力を失ってしまった彼の声。



………なんか言わなきゃ!



「…あ、…あの、すいませんでした…」

「へ?」

「扉、建て付け悪くて…本当にごめんなさい!」

そう言いながら走り出し、逃げ出してしまった自分。

少し走った後、呼吸を整えながら目頭が熱くなっていった。



………逃げちゃった



あの時、浜野くんに話し掛けに行こうと決心したのに…

勢い良く扉を開けたら、いきなり怒鳴られてしまい、逃げ去ってしまった。


怒鳴られた事が悲しいんじゃない。

自分の臆病さが悔しかった。

よそよそしい態度しか取れない自分が悲しかった。



小さくため息をついた後、涙が零れないように少しだけ上を向き、事務所とは反対方向に歩きはじめた。


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