同級生

魔法


―その日の夕方―


後片付けをしている最中、思い出すのは和華との会話。



………やべぇ。すげぇ良い感じだったなぁ



「不良だな」

『もう成人してるよ』



7年越しにした初めての短い会話。



「久しぶりだな。菊池和華」

『だね。浜野洋介くん』



初めてフルネームでアイツを呼び、初めてフルネームでアイツに呼ばれた事実は、思い出すだけで自然と頬が緩みそうになる。


携帯小説の中ではちゃんとした会話をしていたけど、実際には会話なんてしたことが無く、当時はフルネームで呼ばれる事なんて夢のまた夢だった。


あの後お互い仕事をしていたせいで、あれ以上の会話は出来なかった。

けど、あの短い会話だけで疲れは吹き飛び、充分幸せな気持ちになれた。


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