同級生
言われなくてもわかってた。
『可愛い』と言葉に出した瞬間、魔法にかかったように顔が熱くなるのがわかったから。
「はい。これ…。イタ電しないでね」
そう言いながら差し出された名刺。
受け取った名刺を眺めながら小さく告げた。
「サンキュ…」
変わらない特徴のある可愛らしい文字。
文字だけじゃなく、顔も声も俯く仕種も…
俺自身の気持ちも
あの頃と何も変わってない。
何も変わってなさすぎて、今の自分が高校の頃に戻ったように感じる。
「洋介!帰るぞ!」
春樹さんの声で我に返ると、和華がニッコリと笑いながら告げてきた。
「お疲れ様。またね」
「ああ。またな…」
和華は春樹さん達に会釈をし、軽く走りながらその場を離れた。