同級生
他愛もない会話の中でわかった事は、最近仕事の都合と家庭の都合が偶然合致し、こっちに引っ越して来た事。

私の家とは3駅離れた場所に家族と住んで居る事。

今日、いきなり怒鳴り付けられたと思っていたけど、それは私に対してでは無く、電話の相手に怒鳴りつけていた事。


そして……



「…なぁ、今って彼氏いたりする?」


彼の核心をつく一言は、私の体を小さく跳ね上げさせる程、鼓動を強くさせた。


「うーん。居ない…かな?」

「そっか。なら良かった」

「どうして?」

「え?ほ…ほら、男と長電話したらなんか悪いだろ?もう遅いし…それに…なぁ?」

「うん?」

「ど…同窓会!男ばっかじゃん?『行くな』って言われたら…かわいそうじゃん?」

「そうかな?」

「ああ。せっかく誘ったのに『男に言われて来れない』とか切なくね?…ってちょっとごめん」


電話の向こうで誰かと話している彼の声。



高校の時にこんなふうに話せていたら…

今頃どうなってたんだろ?

今と変わらないのかな?

電話の向こう側じゃなくて…
目の前に居たのかな?

それとも…

お互い知らない振りをして……


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