同級生


『うーん。居ない…かな?』


少し曖昧だったけど、居ない事を核心出来た彼氏の存在。



………和華サバサバしてるから、彼氏が居たら『居る』ってハッキリ言うだろうな。何で曖昧にしたんだろ?

好きな男がいる…から…か?



さっきまで緩みっぱなしだった表情は、一瞬にして引き締まってしまい、浮かれていた気持ちは沈みきってしまった。



………そういや俺、自分の事を話すのに必死で、アイツの事聞いてない…

それに…

葉月にまだ何も話してない…

やること山積みじゃねぇかよ…



現実に課せられた事の多さに、思わずため息がこぼれ落ちた。


今までずっと夢と記憶の中の和華にしがみついていたけど、偶然、和華は目の前に現れた。

ずっと追い求めていた人が、突然目の前に現れたら…

もうブレーキはいらない。

もう同じ過ちを繰り返したくない。

もうため息ばかりの日々を過ごしたくない。


自分の為に…

後悔を繰り返さない為にも、まずやらなきゃいけない事はわかってる。

葉月と別れる事。



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