同級生
………葉月の野郎…
葉月が電話に出ない苛立ちは、日を追う毎に増していた。
時間はまだ23時30分。
和華がまだ起きている事を期待し、和華に電話をかけてみた。
毎日のように、聞き飽きる程聞いているコール音。
長いコール音の後、聞こえて来たのは留守電を知らせる機械的な音声だった。
………もう寝てる?風呂か?
普段ならここで諦めてるだろう。けど、この時は諦められなかった。
本当は今すぐ和華に会いたい。
けど、それは叶わぬ願いだから…
せめて和華の声だけでも聞きたかった。
何度も長いコール音の後、機械的な音声を聞き、何度もかけ直した。
何回位かけ直しただろう。
「……はい」
やっと聞こえた和華の声は、自分の予想を反して酷く泣き濡れ掠れていた。
「ど…どうした?」
「何でもないよ…」
「何でもないのに泣いてんのかよ?」
「ち…違うの。玉ねぎ切ってて…」
「こんな時間にか?」
俺の問い掛けに黙り込んでしまった和華。
責めるつもりは無かったけど、和華に何があったのか知りたかったせいで、無意識のうちに口調は強くなっていた。