同級生
「ハッキリ言えよ。何で泣いてんだ?」
「………」
「言いたくなきゃ住所教えろよ。今すぐ行くから」
「…教える訳無いじゃん」
「だったら言えよ」
「………」
「黙ってんじゃねぇよ!言えって!和華!!」
「…し…死んじゃったの。高校の時からずっと飼ってた犬が…」
「あ…そうだったのか…。ごめんな。いきなり泣いてたからすげぇ心配して…ホントにごめん」
「うん…。玉ねぎでごまかせなかった…。ごめんね」
『会いたい』
頭の中にはこの言葉しか無かった。
頭の中だけじゃなく、自分を構成する一つ一つが和華を求めてた。
例え、抱きしめる事が出来なくても…
触れることが出来なくても良い。
ただ単純に傍にいたい。
愛しい人が泣き濡れているのに、傍に居ることが出来ない自分がもどかし過ぎる。
「…なぁ、やっぱ住所教えてくんね?」
「…ダメ…だよ。明日も仕事だし…それに…」
「それに?」
「は…早く寝なきゃ…。腫れた目で会社行きたくないし…。だから…おやすみなさい」
俺の言葉を待たず、一方的に切られた電話。
明らかに様子がおかしかったけど、これ以上和華に追求することは許されないような気がしていた。