同級生

やっと瞼の腫れがひいたのは昼過ぎ。

叔父さんの会社に行かなきゃいけない。
けど行きたくない。

叔父さんの会社には、彼が仕事をしに来てるから。


彼には会いたいけど、どんな顔をして会ったら良いのか…。


ため息が止まらないまま支度を終え、玄関を出てすぐ、また一つ大きなため息がこぼれ落ちた。

さっきまで薄暗いだけだった筈の空は、黒い雲を張り巡らせ、小さな水滴を零している。


仕方なく傘をさし、歩きはじめたけど…

小さな水滴は、一歩歩く毎に大きさを増し、叔父さんの会社に着いた頃には土砂降りの状態になっていた。


ふと、彼の居る筈の方に目を向けると、彼の姿は無く、エンジンのかかっている車の中に人の気配を感じただけ。



………顔合わせずらい



逃げるようにその場を急ぎ足で通り過ぎ、事務所の中に飛び込んだ。


「おはよ。遅くなってごめんね」

傘に付いた水滴をバタバタと払いながら告げると、叔父さんは驚くような声で聞いてきた。

「おう。雨か？」

「うん。雪になりそうだよ」

「ホントかよ…。外の同級生達は？」

「聞いたの？」

「ああ。この天気じゃ仕事になんないだろ？寒いから中に呼んでやれ」