同級生

少しの沈黙の後、固まってしまった和華にため息をつきながら聞いた。

「…何避けてんだよ」

「別に…避けてなんか…」

「避けてんだろ?わざと目合わせねぇんだろ?」

「そんな事…」

「じゃあ何で挨拶すらしねぇんだよ?言ってみろよ?」

「……高校の時だって挨拶すらしなかったじゃん。…あの頃と同じだよ」



呟くように小さく言う和華の言葉に、何も言い返せなかった。


確かに今日の和華の態度はあの頃と同じ。

高校の頃と全く同じ行動をする和華と、高校の頃と正反対の行動をする俺。

もし、俺の全く違う態度に和華が戸惑い、涙を流してたとしたら?

全く違う態度に和華が苦しみ、涙を流してたとしたら?

もしそうだとしたら、一つだけ当て嵌まる事がある。


気付きたくも無かったけど


和華は…

俺がずっと追い求めてた人は…


『俺を嫌ってた』


挨拶すらしたく無い程

目を合わせたく無い程

あの頃と全く同じように


『俺を嫌ってる…』



携帯の番号を聞いた時も

電話をした時も

和華が俺の事を聞こうとはしなかったのは…

『俺に興味が無いから聞かなかったから』


でも…

俺は…


< 167 / 196 >

この作品をシェア

pagetop