同級生


「あ、そうだった」

叔父さんはそう言いながら立ち上がり、散らかったデスクの上を漁りはじめ、白く大きな封筒を私に渡してきた。

「何これ?」

「この前話したろ?見合いの相手」

「は?」

「1回会うだけで良いから。な?」

「断る」

「会社の存続がかかってんだよ。1回会えば向こうも気が済むから!な!」


叔父さんの力説にため息をつき、封筒に貼ってある伝票を眺めた。



………何が“会社の存続”だよ。この会社、そんなに付き合いないじゃん。嘘つき。



渡された封筒を開ける事も無く、キーボードに指を走らせた。


デリカシーの無い叔父さんに、言いたい事は数え切れない程ある。

大体、お見合いの話しなんて、今さっき初めて聞いた。

けど、文句を言って揉め事になる程、面倒な事はない。

下手な揉め事で体力を使いたくないし、親まで出て来られたら迷惑極まりないから、いつも言いたい事をグッと堪えてる。


特に今は…


目の前に第三者が居るのに…



………目の前に同級生が居るのに、平気で“お見合い”とかホント信じらんない。
大体、まだ25だし!意地でも会わないんだから!



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