同級生



………見合い?それが原因で夕べ泣いてたのか?



笑顔で春樹さんと話しをはじめた叔父さんと、和華の素っ気ない態度。

『受け取った』と言う言葉より、『置かれた』と言う言葉の方が正しい気もする。

その証拠に、和華は封筒の中を確認しようともせず、淡々と仕事を続けている。


今、考えてみれば、俺みたいな『同級生』に見合いの話しなんか聞かれたくないだろうし、それが不本意な物であれば、余計に聞かれたくないと思う。

聞かれたくない事だから、避けるような態度をとってたとしたら…

誰にも相談出来ず、たった一人で苦しんで、泣いていたとしたら…



………もしかして、俺すげー勘違いしてた?
和華に嫌われてるって勘違いして、イラついて、怒鳴りつけて……



和華に何も言えないまま、時間だけが虚しく経ってしまい、全く作業が出来ないまま、業務終了時間が過ぎていった。


「叔父さん、私、帰るね」

淡々と後片付けをし、コートを着ながら告げる和華だけど、白い封筒はデスクに置かれたまま。

「俺らも行くか」

春樹さんの声で立ち上がり、和華の叔父さんに改めて挨拶をする春樹さんを待っていた。


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