同級生
憧れの車にテンションが上がってしまい、和華を胸に飛び込させてしまった。


肩を支えただけのに…

顔が胸に当たっただけなのに…

和華に触れた部分が今でも異常な位熱く感じている。


車を発進させると、和華は春樹さんと話しながらカーステレオを弄り、高校の時に好きだった懐かしい曲をかけた。


高校の時から憧れてた車と、助手席に座るずっと追い求めてた人。

当時を思い出させる曲は、視界を遮る雪でさえ、夢の中のような幻想に思えてしまう。


春樹さんと和華の会話を聞きながら運転し、瞬さんを送った後、春樹さんの家の前で停まった。


「お疲れなのにすいません、和華さん。助かりました。因みに、この後予定ってありますか?」

「いえ、特には…」

「じゃあ、洋介に飯奢らせてやって下さい。今日のお礼に」

「そ…そんな…」

「じゃあな、洋介。良いもん奢れよ。お疲れ」

「あ、お疲れした!」

右手を軽く上げた後、家の中に駆け込んでしまった春樹さん。


“良いもん奢れ”とは言われたけど

『高校の時だって挨拶すらしなかった。あの頃と同じ』

事務所の中で言われた事を思い出すと、誘い難いのも確か。

それに万が一、自分が勘違いだと思っていた事が当たっていたら…


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