同級生
家の前に車を停めた後、呆然と俺を見る和華に気が付いた。

和華が謝ってくれた事で…

和華が俺と目を合わせてくれた事で、胸につっかえてたものが取れた気がした。


「…嫌か?」

「ううん。良いけど…」

「けど?」

「こういう時って、普通『奢ってくれ』って言わない?」

「そ、そうかもな。でも、俺も誤解してたし…」

「誤解?」

「俺さ、和華に嫌われてると思っちゃってさ。高校の時から嫌われてたんだって思ったらすげーイラついて…。俺、あんなに…」

俺の言葉に驚いたのか、俺を見つめたまま、微動だにしない和華。


少し潤んだ和華の目と、ほんのりと赤く染まっていく頬。

見つめ合っているだけなのに、柔らかそうな唇に吸い込まれそうになる…


「…和華」

ピンク色に染まった頬にそっと触れた瞬間、指先に“バチン”と電気が走った。

「ご、ごめん!な、なんか妙な空気になったな!ほ、ホントごめん!」

「う、ううん。だ、大丈夫。ご飯行こっか!」

「そ、そうだな!駅前に良い店あるからそこ行こうぜ!き、着替えて来るな!」

笑顔で頷く和華だけど…

車を飛び降りた後、小さな後悔に襲われてた。


『俺、あんなに和華の事好きだったのに』



………ちゃんと言えてたらなぁ。25になっても告るのって怖いもんなんだな。…やべぇ、俺すげーヘタレてんな


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