同級生
彼の運転する車に乗ったまま駅に向かい、近くのパーキングに入った。

助手席に手をかけながら車庫入れをしてる彼。

シートに手をかけているだけとわかっていても、胸の鼓動は激しくなるばかり。


「ちょっと歩くけど…大丈夫か?顔赤いぞ?」

「だ、大丈夫だよ!」

急いで車を飛び降りた後、ふぅっと大きくため息をついた。

降り続けている大粒の雪が、熱くなった頬を冷ましていくのが心地好い。

「風邪ひくぞ」

そう言いながら傘を差し出してくれた彼。

一つの傘に二人で入るなんて、夢にも思って無かったけど…


彼と同じ傘に入りながら歩いていると、不思議な位心が落ち着く。

暴れ乱れていた鼓動はそのままだけど、心は落ち着きを取り戻していた。


一つの傘に入るのだって初めてなのに、何故か凄く落ち着いて、心地好くて…

ただ並んで歩いているだけなのに、凄く楽しくて、凄く嬉しくて…
このままずっと歩いていたくなる。


このまま歩いていたい

けど、そんな儚い願いはすぐに消えてしまい、呆気なく店の前に着いてしまった。


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