同級生



………何で満足げなんだろ?変なの。自分は飲めないのに…



仲が良いのか、楽しそうに店員さんと話ながら注文をしている彼の横顔。


ずっと遠巻きに見ていた彼の横顔。


顎にうっすらと生えた無精髭のせいかな?

あの頃と比べてずっと凛々しく…

高校の時なんか比べものにならない程、逞しく思えてしまう。



「お待ちどーさん!」

私の前に置かれた生ビールと、彼の前に置かれたウーロン茶。

「とりあえず乾杯すっか!」

タバコをもみ消しながら告げる彼の表情は、ほんの少し残念そうに思えた。

「そうだね。何に乾杯する?再会?」

そう言いながらウーロン茶の入ったジョッキと、生ビールの入ったジョッキを交換し、乾杯の前にウーロン茶を一口飲んだ。

「ちょっ!え?」

「もう飲んだからこれ私のね。それ飲んじゃって」

「だって運転…」

「ちゃんと送るから安心して。早く乾杯しよ」

そう言いながらジョッキを差し出すと、彼は私のジョッキに“カチン”とジョッキを当てた。


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