同級生
グビグビと喉を鳴らしながら、ジョッキのビールを勢いよく飲んでいる嬉しそうな表情。

「プハァ!くぅぅ!マジ うめぇ!!」

ジョッキのビールを半分以上飲んだ後、彼は至福を噛み締めるように呟いた。

「親父クサ」

笑いながら思わず口からこぼれた本音に、彼は少しだけ口を尖らせた。

「ウッセ。否定出来ねぇけど…」

「変にカッコつけて無理してる人より、庶民的で親父臭い人の方がずっと良いよ」

「やべぇ、マジですげぇ嬉しい…。あ、和華はいつも何処で飲んでんの?」

「カウンターバーが多いかなぁ?夜景の綺麗なお店で、先輩と愚痴りながら飲んでるんだ」

「ふーん。男?」

「ううん。女だよ。最近全然行ってないけどね」

「そっか。男作んねぇの?」

「え?な…何で?」

「い、いや…あの………」


言葉に詰まったように黙り込んでしまった彼。

彼の核心をつく言葉は、私の鼓動を激しく動かし、冷めきっていた筈の顔に再び熱を持たせた。



………何か言おうよ…。
この状況、凄い恥ずかしいんですけど…



店内は騒がしく賑わっているのに、テーブル席の一角だけがシーンと静まり返っている…



………どうしよう…
この静けさって何?
私から何か言った方が良いのかな?


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