同級生
………やべぇ、変な事聞くんじゃなかった。
酒の勢いなんかじゃない事は確かだし、ビール1杯で酔える程弱くもない。
『男作んねぇの?』
話の流れで聞いた事なのに、自分自身がこんなに動揺するとは思わなかった。
『何で?』
少し赤い顔をしながら聞いてきた和華の言葉。
………何でって…
そりゃ愚問って奴じゃね?
携帯小説に思いっ切り書いてあっただろが…
…ん?待てよ?
あの携帯小説を書いたのが和華じゃ無かったら、あの頃の俺の気持ち知らないんじゃね?
だとしたら、携帯小説の事聞いて、和華が携帯小説読んだら…
恥ずかしすぎる…!
『恥ずかしすぎる』と思った瞬間、激しい緊張が体中を支配し、顔と耳が異常な程熱くなるのがわかった。
見合いかと思える位、黙ったまま淡々と飲み物を口に運ぶ俺と和華。
「お待ちどうさん」
つまみを運んできた信さんが、救世主のように思えてしまう。
だけど、和華は俯いたままビクともしない。
「の、信さん、レモンサワーと…和華は?」
「う、ううん。まだ大丈夫」
赤い顔をしたまま、笑顔で首を振る和華に、胸の奥がグッと締め付けられた。