同級生

「く、食おうか!」

「うん。食べよ!」

信さんがテーブルから離れた後、また俯いてしまいそうな和華に切り出したは良いけど…

今度は二人して黙々と箸を動かしてしまう始末。

頼んだレモンサワーがテーブルに運ばれても、黙々と飲み食いするばかり。



………ヤバい!
これって修学旅行の時と同じじゃね?
エレベーターの中で二人きりになったのに、何話せば良いかわかんなくて、黙ったまま降りた時と全く同じだ!
何か話さなきゃマズイ!



「…あ、あのさ、和華って休みの日何してる?」

『見合いかよ!』と突っ込みたくなる程、ベタな質問しか出来ない自分が嫌になる。

「うーん。掃除と洗濯かなぁ。本業が忙しくて、なかなか平日に出来ないから…」

「そうなんだ。…趣味は?」

「なんだろ?音楽聞いたり、ドライブ行ったり…本読んだり?」

「本…。携帯小説とか?」

「え?携帯…?」

飲もうとしていたジョッキを口に当てたまま、ピタッと固まってしまった和華。

話の流れで核心に触れる事が出来たけど、和華は明らかに動揺の色を見せてる。

「…知ってるのか?“同級生”って小説」


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