同級生
『忙しくてそんな暇無いもん』

あの小説を、いつから書いてたのかはわからないけど、本業と副業を熟す和華の生活だと、携帯小説を書いている暇は無いだろうし、そんな暇がある位なら睡眠時間に回してるだろう。

けど、納得は出来ても釈然とはしない。


あれだけ動揺の色を見せてたのに…

あんなに事実を書いていたのに、赤の他人が書いたなんて信じられない。


「…嫌なのか?」

「え?」

少し潤んだ目で見つめてくる和華。


そんな目で見られたら、聞きたい事も聞くに聞けなくなる…


「“和華”って呼ばれるの嫌か?」

「あ、あの…、そうじゃないけど…。私は“浜野くん”なのに変かな?って…。なんてどうでも良いね!…ごめん」

萎んでいく風船のように、シュンとしてしまい俯いた和華。


和華の表情を見ていると、小さな事にこだわっている自分に、罪悪感すら覚えてしまう。


「謝る事無いし、変だと思うなら和華も呼び捨てにすれば良いんじゃね?洋介って」

「そうなのかもしれないけど…、迷惑じゃない?誰かに聞かれて、誤解されちゃったら…」


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