同級生
「良いよ。和華と誤解されるなら『いらっしゃい!』

威勢の良すぎる店員の声で、肝心な事が掻き消される始末。

「…い、今何て?」

「あ…あのさ『洋介!』

決心を打ち砕く、聞き慣れた声に視線を向けると、赤ら顔の親父が満面の笑みで歩み寄ってきた。

「なんだよ?」

「なんだよって、町会の会合の二次会。そこの席予約したの」

そう言いながら和華の隣に座る親父。

「予約してんなら自分の席座れよ!こっち来んな!」

「何怒ってんの?洋ちゃん怖いネー」

甘えた声で和華に言う親父と、どうしていいかわからない表情でうろたえる和華。

和華の隣に座ってるだけでも腹立たしいのに、親父は和華に擦り寄っていく始末。

「だー!もうあっち行けって!和華困ってんだろ?」

「和華ちゃんって言うの?可愛いネー。おじさん手相見てあげようか?当たるのよ~」

「触んな!酔っ払い!」

「そうそう。和華ちゃん、4月の頭にうちの隣の公園で桜祭やるのよ。もし良かったら来て!ね?」

「つーか和華困ってるっつてんだろ?クソ親父!」

「え?お…お父…さん?」

戸惑った表情のまま、小さく聞いてくる和華だけど…


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