同級生
浜野くんの背中を追いかけ店の外へ出ると、降っていた雪はやみ、降り積もっている雪を街灯だけが照らしていた。

「ホンっとごめん!」

両手を顔の前で合わせ、深々と頭を下げている彼。

「大丈夫だけど…」

「親父、すぐ酒に飲まれるんだ。酔うとお姉言葉になって気持ち悪ぃし…」

「そうなんだ…。でも大丈夫なの?」

「親父なら大丈夫だよ。いつもああだし」

「そうじゃなくて…私、帰れる?」

「ああ。車乗ればすぐ寝るし、寝たら朝まで起きないから、着いたら担ぎ出すよ。本当にごめんな」

「ううん。それ聞いてホッとした」


足元を見ながら歩き、いくつかの言葉を交わしてるけど、胸の奥のモヤモヤした気持ちはハッキリとわかる。


モヤモヤした気持ちがあるからかな?


彼の顔を直視出来ないでいる。


「…和華」

「うん?」

「また飯行こうな。あの店しか知らないから、いろいろ教えて欲しい」

「良いよ。浜野くん、こっち来たばっかだもんね。好きそうなお店探しておくよ」

足元を見つめながらそう告げた後、浜野くんはピタッと足を止めた。

真っ赤な顔をしながら立ち止まり、ジッと私を見つめている彼。


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