同級生
目の前でお金のやり取りをしている笑顔のおじさんと、ふて腐れた表情の浜野くん。



………洋介…か。

ずっと頭の中ではそう呼んでたんだよ…?

ずっと前から、ずっと洋ちゃんの事を見てて…

ずっと遠巻きから見てて…


目が合っただけで、心臓が張り裂けそうな程緊張して…

気持ちが見透かされそうな気がして…

恥ずかしくて目を逸らしてたんだよ…。


でも、そんな事をしてたから…

そんな過去があったから…

嫌われてるって勘違いしちゃってたんだね。


もう目を逸らすのはやめよう。

もう逃げるのはやめよう。


自分の本当の気持ちからも

彼の真っ直ぐな視線からも…


そうしないと前には進めないもんね。

臆病になってるだけじゃ、何も始まらないもんね。

待ってるだけじゃ、その場に取り残されて…

一人きりになっちゃうもんね。


勇気を出して

頑張って前に進んで

距離を縮めないと…

いつまで経っても

隣に並んで歩けないもんね。


誰かが先回りしちゃって

凄く落ち着いて楽しい場所が

無くなっちゃうもんね。



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