同級生
椅子を壁際までずらし、足を組みながらドライヤーで髪を乾かしている和華の姿。


アイツにとって、何気ない行動をしているだけなのに…

濡れた髪を乾かすのは、当たり前の行動なのに…


胸がグッと締め付けられ、爪先からジワリジワリと電気が走ってきた。



もう一度、和華を抱き締めたい。

もう一度、あんな状況を作り出せたら…

せめてもう一度だけ、和華と近い距離で向かい合えたら…



そう思っても、人志に頼むのは危険過ぎるし、あの一件以降、和華は人志を警戒しまくってる。

自分から誘い出す方が簡単だけど、俺の周りには常に誰かが居る。

ため息を吐きながら教室に戻ろうとすると、壁に寄り掛かりながら座る人志と青田の姿が視界に飛び込んだ。

「何してんの?」

「あ、洋ちゃん、今日の部活無いらしいよ?」

人志と俺の会話を遮るように、人志と同じクラスでバスケ部の大矢が話しかけてきた。

「マジ?」

「顧問の秋山が来れなくなったらしいよ?あ、菊池!今日の部活無くなった!」

「そうなんだ。藍子にも言っておくね」

大矢に答えながら自販機コーナーに入って行く和華。


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