同級生
午後の練習の途中で、帰宅してしまった2匹のウサギ。

食事を取り終えた後、学年順にシャワーを浴び、布団の敷いてある茶道室に向かった。

教師と保護者の為に作られた畳み張りの茶道室は、工業高校には似合わな過ぎる。

似合わな過ぎると思いつつも、真新しい畳みの匂いに少しだけ気持ちが落ち着いていた。

寝転がりながら同じクラスの桜庭と、大矢の3人で話をしていると、キャプテンと、以前、和華が話していた大園の小さな会話が耳に入ってきた。

「マジっすか!?」

「ああ。もう別れたけどな?水着の件があって良かったよ。わざわざ餌撒く必要無かったしな」

「で?和華はなんて?」

「意外にあっさり別れたよ。キス位させろっつうの…」

「キャプテンも悪い男っすよねぇ~」

「アイツ超ウケるよ。誰にも言うなって言ったら、ホントに誰にも言ってねぇの。大久保にすら言って無かったんだぜ?…そういやそこに居る浜野って、アイツが好きなんだよな?今なら傷心後だからチャンスじゃね?」



知らなかった事実と、フツフツと込み上げてくる怒り。

黙ったまま拳を床に叩き付け、ゆっくりと立ち上がった。
< 32 / 196 >

この作品をシェア

pagetop