同級生
その日の放課後。



いつもなら行ってる筈の部室には行かず、アイツを抱き締めた階段に向かおうとした。

「あれ?洋ちゃん部活は?」

人志の声と同時に、人志の背後に見えたアイツの姿。

「辞めた」

必要以上にデカい声で答えると、和華は少しだけピクッと反応した。



『何で辞めたの?』

『いつ辞めたの?』



そう聞いて欲しかった。

ウザい位、しつこく聞いて欲しかった。

和華の方から話しかけて欲しかったのに、和華は何も言わず、『またね』の一言も無いまま階段を降りてしまった。



………俺の事なんか眼中にねぇんだ。俺は緊張して何も出来ない位好きなのに…。アイツにとって俺は『ただの同級生』なんだ…。マジ切ねぇ…



ため息を吐きながら校舎を後にし、いつの間にか増えていた別のクラスのみんなと学校を後にした。
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