同級生
学校に到着し、教師に言われた通りの場所にチャリを止める。

籠に入っていた鞄を掴んだ瞬間、背後から聞こえた女の声。

慌てて顔を向けても、女子生徒の姿は無かった。


「ねね、今、女の声したよね?」

笑顔で声色を変え、駆け寄って来る人志。

「え?あ、ああ…」

「顔見た?」

「見てねぇよ」

「嘘だぁ!見たんでしょ?ねね、どんなだった?どんなだった?」

「お前ウゼェよ!見てねぇっつってんだろ!?」

「ええ…。怒んないでよ。洋ちゃん…。洋ちゃん怖いぃ~」

完全に悪ふざけをしている人志を置き去りにし、一人で校舎の中に向かった。

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