同級生
和華が黙ったまま小さく頷くと、教室に教師が飛び込んできた。

「コラ!お前、今ライター隠したろ!?」

教師の視線の先は、前の席で群れて居る奴等。

「全員、その場でジッとしてろ!荷物検査するぞ!」

突然の怒鳴り声に、嫌な汗をかいた。



………ヤベ!タバコ!



平然としている一哉と人志。

慌てて隠れながら逃げ出した青田と新田。

教師と目が合っている状況で逃げ出す事も出来ず、『無期停学』の覚悟を決めた。


コッソリと軽く足を叩く和華の手に気付き、足元を見ると和華の指差す先には、和華の鞄が口を開いて置いてあった。

「あ、靴紐解けてる。すぐ直さないと危ないよ」

「あ、ああ…」



………隠せって事か?そんな事したら和華自身が危ないんじゃね?



靴紐を直す振りをしながら鞄の中にタバコを入れると、教師が怒鳴りつけてきた。

「コラ!浜野!ジッとしてろ!」

「靴紐直してんだよ!」

鞄を膝の上に置き、コソコソと何かをしている和華。

鞄の中からポーチを取り出し、和華は何処かに行こうとした。

「菊池!動くな!」

「トイレ行きたいんですけど…」

「すぐに調べるから調べてからにしろ!」


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