同級生
慌てて立ち上がると、校舎内にチャイムの音が虚しく鳴り響いた。

今すぐ謝りたいのに謝る事すら出来ず…

今すぐ話しかけたいのに、話しかける事すら出来ず…

後悔ばかりが襲いかかった。


テストの最中も、後悔の波に襲われ続け、白紙に近い状態で提出した答案用紙。


答案用紙を回収した後、入れ替わりで担任が教室に入り、そのままホームルームが始まってしまった。

長いホームルームを終え、A組の教室に向かっても、A組の教室は静まり返り、人影も人の居る気配すらなかった。



このまま卒業したら…

思いを伝えないまま卒業してしまったら…

口も聞かないまま終わってしまったら…



ふと頭に過ぎった最悪の事態は、焦る気持ちを募らせ、駅に向かう足を早めた。


駅に向かう途中、視界に入るのは男子生徒の後ろ姿ばかり。


男子生徒の群から探し出そうとしても、見慣れた制服姿の長い黒髪は何処にも居ない。


駅に着いても、見慣れた後ろ姿の気配すら無かった。

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