同級生

肩の力を落としながら家に帰り、ベッドの下から薄緑色の冊子を取り出した。


鳴り止む事を知らない、虚し過ぎる機械音。


何度鳴らしても、何度かけ直しても聞こえるのは機械音ばかり。

諦めに近い心境の中、ため息を吐きながら発信ボタンに指を伸ばした。



………やっぱり出ないか。まだ帰ってねぇのかな？



小さくため息を吐くと同時に、虚し過ぎる機械音は鳴り止み、待ち望んでいた声が耳に飛び込んだ。


「はい」


ずっと待ち望んでいた声は脳を刺激し、頭の中を真っ白にさせた。


「……もしもし？」


次第に不機嫌になる和華の声。


待ち望んでいた声は、俺の緊張の色を濃くし、声を出す事すら出来ずにいた。


何も言えずにいたせいで、当然のように切られてしまい、虚し過ぎる機械音が耳に流れ込んだ。