同級生
嫌と言う程聞いている機械音だけど、普段感じている緊張は全く無い。

「もしもし?」

耳に飛び込んだ一哉の声に、ホッと胸を撫で下ろした。

「一哉?久し振りだな」

「おう。どうした?」

「何してた?」

「ボーッとしてた。どうした?」

「悪かったな。試験中、酷い事言ってさ」

「ああ、あの事か!気にしてねぇよ」

「一哉にちゃんと言いたくてさ…」

「だから気にしてねぇって」

「和華が好きなんだ。高校入った時から…。あの時も…、入学式の時も、大久保じゃなくて和華を見てた」

「は?…今更何言ってんだよ?」

「今まで黙っててホント悪かった」

「マジかよ…。嘘だろ?」

「マジだよ。つうか、こんな嘘吐く訳ねぇじゃん」

ハッキリと告げた後、胸の奥に清々しい風が優しく吹いた。

言葉に詰まったように大きくため息を吐く一哉。

突然『宣戦布告』をされたようなもんだから、当然の事と言えば当然の事なんだけど…

あまりに沈黙を守られると、少し不安になってしまう…

「…一哉?」

「ん?」

「実は付き合ってるとか言わねぇよな?」

「言わないけど…、告ろうとしてた」

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