同級生
確かに新田の言う通り、好きな男に話しかけられない女も居ると思う。

現に俺がそうだから。

俺がそうだから和華もそうだとは断言出来ないけど、新田の言葉は妙に説得力がある。


自らを犠牲にし、タバコを預かってくれた事と、巧みなトリックで無期停学を免れた事実。



『格好良いって言ってた』



一哉に言われた忘れかけていた言葉が、ふと頭に浮かび上がった。



………もしかして和華も俺の事を?期待して良いのか?
つうか、好きでも無い男にあんな事するか?



『格好良い=好き』に繋らないのはわかってる。

けど、僅かな望みを無駄にしたくないし、和華の行動には不思議な事が多過ぎる。



もし、和華が俺から話しかけるのを待っていたら?

もし、和華が俺の事を待って居たら?



このまま黙っているのは、あまりにもダサ過ぎるし、あまりにも失礼過ぎる。



………よし!当たって砕けろだ馬鹿野郎!修学旅行前に告る!修学旅行前に告って、修学旅行中、丸2年分イチャついてやる!!



「わかりヤス…」

新田の言葉に見向きもせず、姿勢を正した後、拳を握り締めた。


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