同級生
授業中も、休み時間中も、和華を誘い出すきっかけを探した。



………どっか二人きりになれる場所ねぇかなぁ…。あ、昼休みに女子更衣室行けば良いんじゃん!一哉達追い出せば、和華と二人きりになれる!よし!



強く握り締めた拳をポケットに隠し、昼休みになると同時に教室を飛び出した。


和華の教室に入ると、みんなはいつもの場所で何かをヒソヒソ話し、和華は黒板を消していた。

「ふざけんなよ!自分でなんとかしろよ!」

「頼むって!な?な?」

何かをお願いしている若林と、必死で断っている人志。

「どした?」

二人に歩み寄りながら聞くと、人志は俺を睨むように見た後、和華の元へ歩み寄った。

「なんだ?アイツ…」

力無く垂れ下がっている制服のネクタイをキュッと締め直し、顔を赤くしながら背筋をピンっと伸ばしている若林。


………絶対おかしい


そう思った瞬間、人志の声が耳に飛び込んだ。


「菊池、アイツが菊池の事好きなんだって」



―――!!??―――



若林を指差しながらダルそうに言う人志と、一瞬にして顔を赤くした和華。

和華はゆっくりと人志の指差した方を見ると、俺と視線がぶつかった。


< 68 / 196 >

この作品をシェア

pagetop