同級生

確かに自分も好きだけど、大切な事を伝える為に、人志を使うような事は絶対にしない。


火花を散らすようにぶつかり合う和華と俺の視線。

騒がし過ぎた教室は静まり返り、ピンっと張り詰めた空気に包まれていた。


どさくさに紛れて言いたくないし、伝える時は二人の時にと決めている。



睨み付けるように和華と視線を合わせ、何度も強く『断れ』とテレパシーを送っていた。


「あ、洋ちゃんじゃなくて若林だよ」

静まり返った教室に、人志のダルそうな声が小さく聞こえた。

「え？…若林くん？」

「そそ。若林が好きなんだってさ。付き合いたいんだと」

「う…、嘘だね！！絶対嘘だもん！！あんまりからかわないでよね！！」


真っ赤な顔をしながら教室を出て行った和華と、微妙な空気に包まれる俺達。


アイツの出した答えは『ＹＥＳ』でも『ＮＯ』でも無く、『からかわれている』と勘違いしただけ。


全く想定していなかった答えに、なんとも言えない空気が漂いはじめた。


「洋ちゃん…」

「んあ？」

「俺、フラれたのかな？」

「…微妙。ホントの事って受け止めて無かったから、それ以前の問題じゃね？…ドンマイ」