同級生

「洋介？」

「え？あ…、左の方…」

「洋介ってギャル好きなん？」

「は？」

慌てて視線を向けると、二人の女は左右入れ替わり、体育館に向かおうとしていた。


ハッキリと顔が見えて無いせいか、一哉に言い訳する事も、言葉を訂正する事も無い。

けど、黒髪の女子生徒の顔を、間近でちゃんと見たかった。



気持ちを抑えながら一哉と体育館に向かうと、人志がさっきの二人に話しかけていた。

人志が話しかけているのは、ギャルっぽい奴だけ。

黒髪の女はギャルっぽい奴の少し後ろで、笑いながら話を聞いていた。



ハッキリとした二重瞼と長い睫毛。

黒く長い髪のせいか、小さく幼い顔立ちが大人っぽく見える…

吸い込まれそうな黒い瞳を見ているだけなのに、爪先からジワリジワリと緩い電気が上り、小さな身震いまで起こさせた。