同級生
『ドンマイ』とは言ったものの、全く感情は入っていない。

むしろ『微妙だけどラッキー』位の気持ち。

ネクタイを緩め、力無くフラーッと自分の教室に戻って行く若林。

いつも消えるように居なくなる筈の一哉は、その場で呆然としていた。

「洋ちゃん、ちょっと良い?」

一哉に突然呼び出され、屋上の手前にある踊り場に連れて行かれた。

「一哉?どうしたんだよ?」

「…さっきの和華の答えさ、ぶっちゃけどう思った?」

「断ってラッキー」

「そうなんだ…。俺、和華に告るの止めるわ」

「マジで!?」

「なんつうか、和華の断り方がすげぇ残酷に聞こえた。
あんな断り方される位なら、『好きな男が居る』って言われた方がマシだよ…。あの告り方も無いけど、あの断り方も無いよ。あれでも若林は真剣だったんだし…。もし自分が告った時、頭ごなしに『嘘だ』って言われたら、フラれるより切ないよな…。
『100%信用して無い』って言ってるようなもんじゃん」

「信用か…。やっぱ友達から始めないと告れねぇよな…」


二人で肩の力を落とし、大きくため息を吐いた。


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