同級生
静まり返った部屋に入り、畳みの上で力無く横たわった。

人数調整出来なくて、俺の部屋は新田と二人部屋。

『ホテル内で自由行動』と言われても、何もする事が無くただ暇なだけ。

同じ事を思っているのか、新田も暇そうに携帯を弄っていた。



………マジ暇。告れてたら今頃なぁ…。
上に居るのに近付けねぇって…マジ切ねぇ。
つうか、急に呼び出したらビビるかな?
俺が呼び出しても来ないか…。
…一哉か人志なら呼び出せるんじゃね?
みんなで話して、途中から二人きりになれば……
よし!アイツらに話してみよう!



誰かに協力して貰う事に抵抗はあるけど、黙って何も出来ずに居るよりは、協力して貰った方がマシ。

若林みたく、誰かに気持ちを代弁させなければ、多少なりとも望みはあるかもしれない。

人志達にきっかけを作って貰えば、修学旅行だって楽しくなるかもしれない。


勢い良くガバッと起き上がり、私服に着替えた後、鏡の前で髪型を整えていた。


「どっか行くんか?」

「カズん所」

新田の眠そうな声に、横目で新田を見ながら返事をした。

「一哉?和華?」

「取り敢えず『や』の方」

「ふーん。取り敢えずねぇ…」


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