同級生
デカい水飛沫をあげながら、湯船に放り投げられるみんな。

水面からブハァっと顔を出した後、若林は怒鳴りつけてきた。

「何すんだよ!」

「…お前らは見るな」

「なんでだよ?」

「……俺が見るから」

「は?意味わかんねぇし」

「うるせぇ。下がってろ」

「独り占めって酷くね?ちゃんと順番決めようぜ?」

「お前らは見るなって言ってんだろ?特に若林」

「は?なんで俺だけ特別?すげぇ意味わかんねぇし」

「良いから黙って引っ込んでろ!」

「なんで俺がダメなのか、ちゃんと説明しろって言ってんだろが!」

徐々に苛立ちがピークに達し、若林と怒鳴り合う始末。


突然、女風呂の方からピシャっと扉の閉まる音が、ハッキリと聞こえた。


「…ホント馬鹿だなぁ。静かにしろって言ってたのに」

人志の呆れ返った声に、ため息を吐きながらみんなに聞いた。

「得したのって、人志だけじゃね?」

「俺、得なんかしてねぇよ?」

「は?見えたんだろ?」

「見える訳ねぇじゃん。確かに隙間はあったけど、竹の壁の向こうにもう1枚壁があったよ?」

全く悪びれる様子の無い人志に黙ったまま歩み寄り、人志の胸を踏み付けた。


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