同級生
「出せよ」

右手を差し出しながら言うと、人志は急に泣き出しそうな表情をし、縋るように告げてきた。

「ちょっと待ってよ~…」

「良いから早くしろよ」

渋々俺に携帯を渡し、人志は大きくため息を吐いた。

携帯のメモリーやメールの送受信履歴を探しても、これと言って疚しい事は無い。

発信履歴を探しながら平然と呟いた。

「ん?別になんもねぇじゃ……」

言葉と同時に手が止まり、フツフツと怒りが込み上げてくる…

人志の携帯の画面に表示された、いつの間にか覚えていた番号。

何度もコールをし、最終的に話す事が出来なかった、覚え易い和華の家の電話番号…

「お前、なんでアイツの家に電話してんの?」

「ちげぇんだって!洋ちゃん、落ち着いて!」

「何がちげぇんだよ?ハッキリ言えよ?」

「そうじゃなくて、あの…、あまりにも暇だったから…」

「あ?あまりにも暇だったら、他人の女に手出すのかよ?」

「手なんか出してねぇって!あの…その…」

必死で言い訳を考えている人志に対し、苛立ちはピークまで達した。

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